ターミノロジー

ターミノロジーは、用語集とも言われます。国際的な会社や機関では、ターミノロジーで用語の定義と該当する各言語の紐付けがされ、定期的に更新されます。ドメインは、製造、IT、医療、エネルギー、科学、航空、教育業界など多岐に渡り、ステークホルダーは、ユーザー、出版関係者、翻訳者、研究者、職員など組織によって様々です。対象コンテンツは、各種マニュアルや仕様書や専門書などがあります。

ローカライゼーションは、プロジェクト・マネジャー(PM)、エンジニア、各言語の翻訳者、各分野の専門家(SME)などが関わりますが、様々な分野の人がターミノロジーなしで用語を使う場合、以下の問題が発生することがあります。

  • SMEとPMと翻訳者間の認識違いが発生
  • 認識違いから、お客様の要望に沿わない仕上がり
  • 一貫性のない低品質の翻訳

同じ用語でもコンセプトが異なることがあり、異なるコンセプトで用語を使っていたケースで、認識違いが発生します。よくある事例は、SMEやエンジニアが使う用語について、翻訳者やPMが正確でない認識で使っていたために、翻訳をやり直す時間がかかりコストが上がったり、翻訳者間で違うコンセプトで捉えていたことで、全体で一貫していない翻訳となるというケースがあります。事前に問題を防ぐためにターミノロジーは必要です。

ターミノロジー作成​

ターミノロジーを作成するターミノロジストは、言語の専門家であり、適切な用語集を作ることができます。

Charles Kay Ogden と I. A. Richards の著書”The Meaning of Meaning”で示されている「意味の三角形」の通り、コンセプト(Concept)と対象(Objects)と言葉(Terms)には関係性があります。

Semantic Triangle

例えば、言葉が「Uberを呼ぶ」のケースでは、オブジェクトは「迎えの車」、コンセプトが「迎えの車を呼ぶ」となります。Uberのコンセプトマップは以下のようになります。

上記表から、Uberと定義できるものは、Uber契約やUberスティッカーやUberアプリと確認できます。このため、「Uberを呼ぶ」は、言い換えると「Uberアプリで呼べるUberスティッカーを持つ車を呼ぶ」となります。Uberを知らない人には、このような定義が必要です。ターミノロジはこのように言語の関係性を確認して、ターミノロジーを作ります。

ターミノロジー実装​

コンセプトマップ作成後は、実装にはいります。

Kaleidoscopeの用語ベース(用語用のデータベース)製品は、用語に対して画像添付や関連用語の紐付けすることができます。RWSの用語ベースは、複数言語の用語ベースが作成できます。他にも様々な用語ベースがあり、目的や規模によって最適な用語ベースを選ぶことが大事です。また、データベース製品(OracleDBやMySQLやPostgresSQLなど)を使って独自の用語ベースを作成することもできます。

用語ベース実装するには、まず、ゴールや対応する言語や対象を明確にします。次にSMEがコーパスを用意します。コーパスとは、対象で使用される用語を集めたものです。ターミノロジー専門家が、Sketch Engineを使ったり、コンセプトマップ作成することで、不必要な用語の削除と関連性を明確化するなど用語分析を行います。続いて、コンセプトレベルと言語レベルと用語レベルで用語ベースを構成し用語を入力します。バージョンアップや仕様変更や追加機能などの際、用語定義が変更されたり、用語が追加されるので、実装する組織にあうメインテナンスワークフローを作成します。

実装はこれで完了ですが、ターミノロジーの定期的な更新には複数のグループが関わるため、コミュニケーションが必要です。また、メインテナンスプロセスコストを下げるため、できる限り自動化しておくことは重要です。メインテナンスができていない用語ベースは、信頼性が低下し、再構成や再作成が必要となることがあり、コストが上がってしまいます。将来的なコスト問題を避けるためには、ステップ1のスコープ確認で、よく話し合い、組織に合う方法を考慮することが重要となります。

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